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がんばれオバマ君!

おちおち医者にも行けないアメリカ医療保険制度

保険証あれば安心受診の日本がうらやましい

「会社時代は、毎月1000ドルの保険を200ドルだけ負担でよかったんだけどなあ。月300ドルの保険じゃ、あったって意味がないほどお金かかるじゃん!」アメリカの医療保険の高さにあきれるNさん親子

救急車とERと保険のおかげで安心してハチ毒から生還することができたわたしは、
「医療保険には入っておかなきゃだめだぞー!」
と声を大にして保険加入を自主的に推進している。
最近のターゲットは、日本人のNさんだ。

Nさんは、35歳、元会計士。
夫は大きな金融機関に勤めていたけれど去年まさかの倒産。
彼女は夫と子供を扶養家族にして彼女の会社の保険に入れてあげていたけれど最近退職。
今、家族は保険に入っていないのだ。
「やっぱり子供のことが心配だから何かに入っておこうと思って……」
わたしの大きな声の思いが通じ、Nさんは前向きに医療保険加入を考えていた。

「どう?」
おせっかいばばあ(私のことです)は、今日もちょっかいを出しにいってきた。
彼女は、子供がかかりつけの小児科の先生を変えずに済むプランを探しているという。

「保険っていろいろありすぎちゃってわけわからないわ」
彼女は疲れていた。昨日も遅くまで夫とインターネットでいろんなプランを比較していたらしい。

「これは安くていいかなあと思うんだけどね」
彼女が指差したのは毎月300ドルのコース。
「同じ先生が使えて、年間7000ドルまでは自腹で診察受けることになるんだけれど、
そのあとは25%払えばよくて、ERは一回100ドルで……うん? 7000ドル超えるまでは自腹か、これも……処方箋は80%負担? 自己負担を超えたうちの25%がチャージ? あーしてこうして・・・・・・ああああああ、わからないー!」

と彼女は爆発してしまった。
医療保険ショッピングは複雑怪奇なようだ。

「日本では健康保険証もってればどこの病院でも行けたよねえ」
「明朗会計だったよねえ」

異国の地アメリカでわたしたちは、日本の健康保険制度に郷愁の念を抱くのでした。

 

保険料支払い却下で、落命も

オバマが医療保険改革をどう料理するか、アメリカは注目しているぞ。健康一番!がんばれオバマ!

医療保険を選べるだけNさん家族は幸せだ。
医療保険改革問題は、毎日のようにメディアでとりあげられているが、
DVの犠牲者や、怪我をする可能性の高い仕事につく人たち、病気もちのみなさんは、
保険に入りたくても保険会社に却下されるケースが多いとニュースで言っていた。
そしてこの国では、治療可能な病気にもかかわらず、医療保険がなかったり、
あっても保険で払ってもらえなくて治療が受けられず死んでいく人口が先進国とは思えぬほど多いんだって。
そんなの差別だ! 平等に医療を受ける権利はこの国の人間にはないっていうのか!
びっくりだな、アメリカ。

いろいろアメリカ医療現場の問題が公になっているというのに
アメリカは、どうしていまだに医療保険改革を拒むのだろう……。
安心してピーポーピーポー救急車に乗れる生活、
民間保険会社がうだうだ言わないすっきり医療保険、
あったらみんなうれしいだろうに。

金融業界、自動車産業、そして今度は健康保険までに手を出すか!と、
今のアメリカは、政府がなんでもかんでもに関与してくるのに拒絶反応を示している。
その気持ちはわかるけど、健康が一番! 誰もがちゃんと健康保険に加入して前向きに生きていけるアメリカを目指そうよ! それがアメリカ再建の活力になるんじゃないのか!

クリントン元大統領もやろうとしてできなかったアメリカ医療保険改革。
オバマはどう料理してくれるのか?
オバマの戦いは、まだはじまったばかり。
戦いのつづきは、次回へ続く……。

 

いじり めぐみ

1966年、東京生まれのひのえうま。幼児の頃から体が大きく、現在では超ヘビー級の177センチ。東京の広告代理店でCMプランナーとして勤務中にアメリカ人と結婚。96年渡米。
2009年現在、シアトルにて夫を尻に敷きながら小学校7年生&2年生の娘、息子のジョージョー(雑種犬)と暮らす。著書に「デカくて悪いか!」「デブで悪いか!爆笑!猛獣妻の国際結婚バトル」(共に角川文庫)

2009年10月13日  読売新聞)

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