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即日裁判で裁かれる覚せい剤事件

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 アノ芸能人が巻き起こした事件で、ちょっと話題の覚せい剤即決裁判を書きます。アノ芸能人も即決裁判で裁かれるのではないかと噂されていますが、即決裁判手続きは2006年10月から導入された制度で、前科のない覚せい剤の被告人によく適用されています。東京地裁では毎日のように、通常の裁判の半分くらいの時間(30分未満)でサクサクと裁かれています。原則として即日判決が言い渡され、懲役の有罪判決であっても必ず執行猶予がつけられるので、被告人は刑務所へ行かずに済むのです。

 私が傍聴した被告人は、大阪在住の在日韓国人。日本人の名前でサーフショップを経営していました。友人にもらった覚せい剤を友人宅で気化吸引して逮捕されたのですが、なんと10年前から覚せい剤を使用していたそうです。

 即決裁判を傍聴していつも感じるのですが、被告人の反省の様子があまり見られないし、裁判官も検察官も弁護人も事務的でドライです。今回は刑務所に行かないとわかって裁判してるからなんですかね。

10年使用、中毒寸前の自覚がない

 弁護人は被告人にどのくらい覚せい剤を使用していたのか質問します。

 「頻度はどのくらいだったんですか?」「月……1、2回くらい……」

 「何年か止めてた時期もあったの?」「そうですね」

 「ここ1〜2年はどうでしょう?」「ほとんどやってないですね」←全く信用できません!

 「覚せい剤が悪いのはわかってたんですよね?」「はい……テレビでよく……。違法とはわかってました」

 「人に流されて使用してはいけませんよね?」「流されてというか……つきあいでやってました」←つきあいって!人のせい?

 「ノリでやっていいものではないし、それでやってしまった自分の弱さもわかりましたね?」「はい」

 「あなたはポン中になりたくないと言ってましたけど〜10年も使用してたんだから、その一歩手前ということはわかってますか?」とも質問していましたが、10年も使用してたらもう十分中毒だと思います……。離れ離れで暮らしている娘に対して顔向けできないなんて言っていましたが、娘は10歳。娘が生まれた頃から覚せい剤を使用していたのに、よくそんなこと言えるなぁ……。今後覚せい剤と縁を切るために、環境を変えると言ったと思えば、サーフショップしか仕事をしたことがないし、やめてしまったら生活が成り立たないと言ったり。結局、環境変えられないってこと?

 検察官は淡々と論告し、求刑は懲役1年6月。弁護人の最終弁論が終わった瞬間、判決が言い渡されました。判決は、懲役1年6月。執行猶予3年。訴訟費用は被告人持ち。ま、標準的な判決かと……。傍聴席には年老いた被告人の両親と、私を含めた4、5人の傍聴人。裁判はたった20分で静かに終了しました。

(文・長谷川零)

霞っ子クラブ

裁判所で知り合った女性2人による法廷傍聴グループ。事件報道のみでは飽き足らず、実際の法廷でどのような人間ドラマが繰り広げられているかを日々ウォッチングしている。主な著書に「霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記」(新潮社)、「霞っ子クラブの裁判傍聴入門」(宝島文庫)がある。

2009年09月01日  読売新聞)
この記事へのコメント
  • 通りすがり
    2009年09月01日 19:03

    ある程度資力のある被告人のようですが、身柄は在宅だったのでしょうか。

    覚せい剤患者にとって、覚せい剤を一生止め続ける事は、考える以上に難しい事なのだそうですね。

    覚せい剤患者を刑務所に入れるか執行猶予にするかだけでなく、治療するという措置があれば良いのにと思う事があります。

  • 酔うぞ
    2009年09月05日 22:02

    東京地裁で、次々に高校生来て、ドンドンと傍聴していく、という風景に遭遇したことがあります。

    わたしが、傍聴している向かい側の法廷に入っていくので「どんな事件だ?」と見たら、覚醒剤事件を一日中やっている。

    結局、東京地裁が高校生に傍聴を呼びかけた日だったというわけです。

    で、弁護士に「どういうわけで、高校生が覚醒剤事件の傍聴なのよ?」と聞いたら

    「刑事事件で、被害者がいなくて、始まりから判決まで傍聴できる(記事の例では20分間)から、見学にお勧めということです」

    との解説に「なるほどねぇ〜」と感心しました。

    その後、エレベータで降りようとしたら、見学(傍聴)から出てきた女子高生と一緒になったので、ちょっと声を掛けた(^_^;)


       「傍聴したんでしょう?、どうでした?」
       「切なくなりました」

    と言われました。
    刑事事件の有罪判決の重さ、を改めて感じたものです。

  • キメイラ
    2009年09月16日 00:28

    弁護士の先生も,執行猶予が必ずつくので喜んでいる反面,「裁判と判決の感銘力という点では(以下略)」という方が多いみたいです。>即決裁判
    そこに,被告人の利益は第一としても,刑事裁判のあるべき姿を憂えるプロの顔を垣間見ました。

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