- 07月01日
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ソニー、ウォークマンを発売。‐1979年(昭和54年)‐
「こんなもの、どうやって売るんだよ」「歩きながら音楽なんて聴くか」
ソニーの営業マンが、出来上がったばかりの小型のカセットプレーヤーを家電販売店に持ち込んだところ、店側から、けんもほろろの応対を受けた。「録音できない」「スピーカーも付いていない」……。社内からも続出する否定的な意見に、営業マンは7月1日の発売日を目前に控え、頭を抱えた。
当時のソニー会長、盛田昭夫は「絶対に売れる」と自信を持っていた。そして周囲の懸念をよそに売り出された、この聴くだけの携帯用ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」 1号機は、“音楽を外に持ち出して聴く”スタイルを創造し、世界的な大ヒット商品となった。
価格は3万3000円。予定していた4万円台を「若者たちに売るのでもっと安く」という盛田の考えで引き下げた。値決めの理由はほかにもあった。この年が、ソニー創立33周年だったのだ。
発売当初は鈍かった反応だが、9月中旬には用意した3万台がすべて売り切れた。慌てて増産体制を敷き、1年後には総販売台数は100万台を超えていた。会長の盛田自身が海外出張でウォークマンを持参し、商談で聴かせて売り込んだ。
発売から7年後の86年8月には、イギリスの大辞典「オックスフォード・ディクショナリー」に和製英語「ウォークマン」が登場するまでになった。ウォークマンは世界語になったのである。
84年にはCD式、92年にミニディスク(MD)式、2000年6月にはフラッシュメモリー式を売り出したが、携帯音楽プレーヤーの覇者として君臨し続けることはできなかった。
01年11月に米アップルがハードディスク方式の「iPod(アイポッド)」を発売、03年4月にはインターネットでの音楽配信サービス「iチューンズ・ストア」を開始した相乗効果で「iPod」は世界中に急速に普及した。「ウォークマン」シリーズは13年半かかって販売台数が1億台に到達したのに対し、「iPod」は発売5年半で1億台を突破した。
ソニーは、今年の7月1日、「ウォークマン」発売30周年の記念イベントは特に予定していない。栄光の日々は再び取り戻せるのか。(林) =文中敬称略=



